忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

はじまりの場所



夢追い彷徨うこの時勢。
信じられるものなど、無くて。

 

 

 

 

 

 

 

地に描くものはすべて、愛しき家族。
再び相見ることは叶わないからせめてと、少女はくすんだ地面に人を描く。

 


突如黒い影が少女の手と絵を覆った。

 

鈍痛が手から腕、右半分を駆け抜ける。
同時に左頬にも衝撃が走った。
抗うこともできずに、そのまま反対側に倒れた。


上空から矢のように降り注ぐ声は人のものだとわかるけれど、まるで異国の言葉のように脳内を通り抜けていく。


わからないから答えないのだ。
話せないから話さないのだ。

 

少女のその表情に、村人はさらに苛立ちを沸きあがらせる。

貧しさは村人の表面を粗く削った。

 

どうして、と思う。

よい絹も食べ物も無くても、人を打とうと思ったことなど一度も無いのに。
どうしてこの人たちは。

 

 

息を切らした村人は、一蹴りを最後に背を向けた。

 

ゆっくりと起き上がり、左頬に手をやった。

じわじわと鉄の味が口内に広がる。
吐き出してしまうと、同時に目からも何かがこぼれそうで、唾液と共に飲み込んだ。

 

 

立ち上がると、身体の右側がひどく痛む。
地にひっぱられているようで上手く歩けないけれど、行かなければ。

 

両足を交互に動かせば、身体は前へと進んでくれる。
それだけで十分なのだと自分に言聞かせた。

 

 

 

 

村の出口にそそり立つ古木の幹にある穴に、そっと納めてあった山からの産物。


少女はそれを抱えて深く濃い山へと急ぐ。

 


今日もきっと、受け取ってはくれない。
見てもくれない。
それでもいい。



たとえ伸ばした手を振り払われても。


銀のひとは、とてもあたたかい気がするから。
 

拍手[4回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

この記事へのトラックバック

この記事にトラックバックする

カレンダー

10 2018/11 12
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

プロフィール

性別:
女性
趣味:
殺りんについて考察を深める
自己紹介:
殺生丸とりんちゃんに愛を捧げるただの人

最新記事

フリーエリア

よろしければぽちっとお願いします~ 執筆の源となります><

バーコード

最新CM

[02/19 NONAME]
[07/05 poko]
[05/17 いちご]
[05/17 さや]
[05/15 NONAME]

最新TB

ブログ内検索